■TCFD提言に基づく情報開示

 

【TCFD提言に基づく情報開示】

西本Wismettacグループでは、「サステナビリティ基本方針」を定め、この基本方針に基づいたサステナブル経営の重要課題(マテリアリティ)と取り組み課題を設定しており、この重要課題の1つに「気候変動の緩和と適応」を挙げております。

課題を解決するにあたり、当社の事業に影響を及ぼす気候変動に関するリスクおよび機会について、TCFD提言に基づいた分析および情報開示を行っております。

 

【ガバナンス】

気候変動に関する重要な検討事項については、代表取締役会長CEOを議長とする取締役会にて最終決定しております。

気候変動によるリスクの検討など、気候変動に関する具体的な諸課題については、代表取締役会長CEOの直轄部署であるグループガバナンス・ビジネスエシックス部にて協議・モニタリングを行っております。その内容は、月一回の頻度で監査等委員会に報告、四半期に一回の頻度で取締役会に報告され、それぞれ議論されています。 取締役会での決定事項は、各業務執行部門やグループ会社の取り組みに反映されます。

このように気候変動に関する対応については、全社的な経営戦略への統合を行っております。

【戦略】

気候変動によるリスクと機会の特定にあたり、カーボンニュートラルの目標年である2050年時点を想定したシナリオ分析を行いました。

 

分析では、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)が公表するシナリオを用いて、2100年までの気温上昇が、産業革命期頃の世界平均気温と比べて4℃程度上昇する4℃シナリオと、1.5~2℃程度に抑えられる1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)の2つのシナリオで定性的な分析を行いました。

 

4℃シナリオでは、風水害をはじめとする物理的な影響が拡大・激甚化することが想定されております。また、成り行き的な化石燃料の需要拡大による原油価格の上昇も想定されております。

 

当社グループは、船会社との契約により食材をグローバルで輸送し、陸上輸送については、トラックをはじめとする自社物流機能を展開し、事業を行っております。そのため、物流や化石燃料に関する影響は大きいと分析しております。

 

4℃シナリオで特定および評価したリスクに関する現在の対応として、BCP(Business Continuity Plan、事業継続計画) の強化や省エネルギーへの取り組みを行っております。

 

BCPの強化については、社員の迅速な安否確認といった初動対応から、経営資源の下での迅速な営業再開に向け、代替仕入先の選定や代替倉庫の選定・在庫移送、システム復旧までの資産の保護・利用などを行う体制を整えております。

 

また、当社グループの主な取扱商品の一つである水産物については、サステナブル認証商品の導入、陸上養殖を行った商品の導入など、商品の調達方法の検討をはじめとする持続的な供給体制を目指しております。

 

省エネルギーの取り組みについては、オフィスや倉庫のLED化を進めています。更に、農作物について、先端テクノロジーを活用して、干ばつによる水不足に対応するソリューションを提供するなどの新たな取り組みもあります。

 

一方、1.5℃シナリオでは、2050年のカーボンニュートラルへ向かう流れの中で、気温上昇を抑制する規制強化や技術革新が進むことが想定されております。

 

例えば、温室効果ガス排出量の抑制に向けたカーボンプライシング制度が強化された場合、当社グループの事業運営全体に対して財務的な影響を与えることが考えられます。特に商品の輸送には、自社で保有する配送用トラックを使用しているため、影響は大きいと分析しております。また、消費者の環境配慮への関心が高まることにより、当社の商品の需要にも変化が生じると分析しております。

 

1.5℃シナリオで特定および評価したリスクおよび機会に関する現在の対応として、当社グループにおけるスコープ1,2,3の把握やエネルギー使用の効率化、環境配慮型の製品の提供などに取り組んでおります。スコープ1,2,3の把握を進める中で、エネルギー使用の見直しや再生可能エネルギーの導入をはじめとする、より効果的な排出量削減方法の立案につなげてまいります。

 

なお、当社グループが行っているフードバンク等への食品の寄付は、食品ロスの削減と同時にスコープ3の削減にも寄与していることから、排出量削減方法の1つとなります。また、環境配慮型製品の提供の例として、サステナブル認証水産物商品の導入提案、環境影響に配慮した需要への対応を目的としたプラントベースフードの提供、プラスチック使用量削減を目的とした包装資材の導入などを行っております。

 

今後は、定性的に影響が大きいと分析したリスクを中心に定量的な分析を行ってまいります。分析の際に想定をした2つのシナリオのどちらの世界になったとしても、当社グループの事業が継続できるように対応策を実施し、食を通じた持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 主なリスクと機会  要因と事象
 移行リスク  炭素税導入による操業コストの増加
 物理的リスク

 異常気象の激甚化による自社拠点・サプライチェーンの被災による商品提供の停止

 又は商品の品質低下

 機会  環境配慮型製品及び水産物のサステナブル認証商品等への需要向上

 

【リスク管理】

グループ全体のリスク管理については、リスク管理統括部がリスク管理事務局として関連部署と協働でリスク管理全般に関する事項の検討・立案を行い、重要事案等については、月一回の頻度で開催される取締役会に付議又は報告しております。

その中で、気候変動によるリスクについては、代表取締役会長CEOの直轄部署であるグループガバナンス・ビジネスエシックス部にてマネジメント活動を行っております。

 

<グループガバナンス・ビジネスエシックス部の役割(TCFD関連)>

グループガバナンス・ビジネスエシックス部はグループ全体における気候変動によるリスクや機会の識別および評価を行い、月一回の頻度で監査等委員会に、四半期に一回の頻度で取締役会に、報告/議論しております。当社グループのサステナビリティ基本方針とマテリアリティは、取締役会で決定したものであります。また、各業務執行部門やグループ会社の取り組みについてはグループガバナンス・ビジネスエシックス部がモニタリングし、取締役会および監査等委員会に報告しております。

 

また、当社グループは食に関する事業を展開しており、食品安全性に関するリスク管理は特に重要と捉えていることから、フードセーフティ&トレーサビリティ統括部を設置しております。

フードセーフティ&トレーサビリティ統括部は、当社グループ全体の食品安全性に関するインシデント等のモニタリング、解決、改善を行っており、取締役会(原則毎月開催)で報告しております。食品安全性に関するインシデントについては、気候変動を起因とするものも含まれるため、フードセーフティ&トレーサビリティ統括部とグループガバナンス・ビジネスエシックス部の情報共有態勢を構築することで、全社的な気候変動リスク管理につなげております。

【指標及び目標】

当社グループでは、2050年のカーボンニュートラルの実現や国際的な脱炭素化に向かう目標の達成に向けて、グループ全体での脱炭素化に取り組んでまいります。

現在は、国内および海外拠点から排出されるCO2排出量(スコープ1,2,3)の把握と算定体制の整備、継続的なモニタリングを実施しております。

今後は、削減目標の設定をはじめとする排出量削減に向けた取り組みを実施してまいります。

検証された温室効果ガス排出量 (t-CO2e)※ 

 

※本データについて、当社グループは一般社団法人日本能率協会に温室効果ガス排出量の限定的保証を目的とした検証を依頼し、その結果は、「温室効果ガス排出量検証報告書」に記載されています。